そして赤き陽は また昇る 常昇魂を宿した26番 (Page:3) | ||
周りを見渡せばチームは若返り、自分より年上の選手は数人になっていた。それでも廣瀬は高みを目指し、コーチの指導を積極的に仰ぎ、打席での立ち位置などを改革。 そして迎えた2013年4月21日、廣瀬は前人未到の大記録へ歩み出す。 大学時代から注目された打撃に、苦しみ抜いてきた死球。そして何度も見極めてきた人生。その1打席1打席がまるでプロ入り13年間で歩んできた廣瀬の「年輪」そのものだった。 そして、その時は訪れる。日本プロ野球新記録となる15打席連続出塁。 しかし、この金字塔を廣瀬は誰よりも冷静に、廣瀬らしく見ていた。 廣瀬:世界記録に並ぶかという時に、僕の中ですごくノイズが走りました。嫌でした。 廣瀬:僕はそういうつもりで野球をやっていない。毎日、試合に出れるか出れないかという意識でやっている中で、それがたまたま結果が出ているだけ。そういう個人的なものだったので「どうでもいい」というのが正直ありました。 廣瀬:なので翌日の第1打席の初球で「もう終わらせよう」と思って、自分で終わらせたんです。 しかし、それから2年を経た今、廣瀬の心にこんな変化が生まれていた。 廣瀬:あとで考えたらもっと後悔しました。1年経った、2年経ったあとにね。あそこで良い意味で調子に乗れば、そのままシーズンが終われたのかなと思います。 廣瀬:あそこで自分で自分の中に何か蓋(ふた)をしてしまった。自分の世界を自分で勝手に蓋を閉めたなと思いました。 廣瀬:それは今になって気づいてます。 廣瀬:蓋をしてしまうと成長が止まってしまうんですよ。自分の中で。だから蓋をした時点で、もう後退というか、下がっていくしかない。それは僕の中でしてはいけないことだった。 廣瀬:もしあの場に戻れるのであれば、あの第1打席に戻れるのであれば僕は狙いたいです。今の僕であれば。あの時は嫌でしたけど、戻れるんだったら、もう1度戻って狙いたいですね。世界記録に並びたいです。 今も弛まぬ変化を探求する26番。プロ15年目を迎える今年、廣瀬は頭を丸めて周囲を驚かせた。 奇しくも15年前、大学4年の時に新チームの主将に任命された廣瀬。チームを厳しく引っ張る覚悟として、同じように頭を剃り上げた。 このままでは終われない。この現状を変えなければならない。 廣瀬:最近、自分が歳をとって良く分かります。歳をとればとるほど、今までやってきたことに対してのプライドがすごく出るんですよね。 廣瀬:重ねれば重ねるほど、いろんな色を塗ってきてるので、なかなか落ちないですし、いかに真っさらにできるか、プライドを捨てられるかだと思います。だから常に勉強させられているというか、まだまだ未熟。本当に。 今こそ、始まりの鐘が鳴る時。いざ、広島伝説。廣瀬伝説。 ── 広島ホームテレビ「鯉のはなシアター」(7日放送)より「安芸の者がゆく」が文字起こし及び意訳・一部抜粋 | ||
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── 広島ホームテレビ「鯉のはなシアター」(7日放送)より |
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