前田健太×山内泰幸 今だから話せるSP対談 |
前田健太:なんか(山内さんが)オシャレな感じですね。 山内:今日はラフな感じで(笑) 前田健太は2006年、高校生ドラフト1位でカープに入団。これまで沢村賞1回、最優秀防御率3回、カープはもちろん、球界を代表する投手となった。 山内泰幸はルーキーイヤーの1995年、14勝を挙げて新人王を獲得。その後、2003年から去年までカープの投手コーチとして指導者の道を歩む。前田健太とはルーキー時代から担当コーチとして二人三脚で歩んできた。 前田健太の1年目 山内:カープに入った時、プロ野球をどういう風に感じてた? 前田健太:そうですね。やはりレベルの高い世界だと思ってましたし、でもやっていける自信があったから来たので。 前田健太:ただ、初めて打撃投手を務めた時、新井さんと栗原さんに投げたんです。その時にバカスカとスタンドに入れられて、こりゃダメだと思いました。 前田健太:打撃練習って真っ直ぐと分かっていても、なかなか打てないじゃないですか。でも簡単にスタンドに入れられるんで、やっぱりもうちょっとしっかりとしたものを身に付けないといけないなと。 前田健太:ずっと真っ直ぐとカーブでやってきたんで、スライダーだったり、チェンジアップだったり、色んな球種というのを身に付けないといけないというのは感じました。 山内:僕が2軍コーチの時は、高校から入団した選手の体を特に鍛えていこうというのが、僕の中にはありました。マエケンは、それによく耐えてくれたんじゃないかなと思います。 前田健太:2軍は行きたくない場所にしないといけないと思うんで、楽だったらダメだと思いますし、あそこでしんどい思いをして「もう行きたくない」と思いましたし、1軍に上がったら「もう戻りたくない」と思ったんで、そういう意味では良い経験ができました。 山内:良かったね(笑) 山内:その時の僕の印象は何かありますか? 前田健太:やっぱり怖かったですよ。今と全く真逆というか、2軍なんで厳しくしてもらったと思いますし、練習もしんどかったし。 前田健太:ただ、怒られること、打たれて怒られることは全くなかったんで、打たれたら「なんで打たれるんだ」ということも無かったですし。新しいことに挑戦しようと思ったら、どんどんしていけと言ってもらいましたし、変なプレッシャーはなかったです。 前田健太:あの頃ってファームの試合数が少なかったじゃないですか、練習日が多くて、普通に由宇で3日連続練習とか、4日連続練習とかいう時があって、その時はバスに乗ってる時が憂鬱でした。 山内:バスに乗って由宇に行く時ね(爆笑) 前田健太:ほんと1軍に上がりたいとずっと願ってたんで(笑)でも1年間しっかり2軍で投げさせてもらって、今となっては良い思い出というか。 超一流の投手に成長したマエケン。この男は他の投手と何が違うのか。 前田健太のスゴさ 山内:向上心がある投手だと思うんですよね。新しい球種を覚える。スライダーを2年目から覚えたり、スライダーの中でも曲がりを変えたり、今年も縦スラをやってるし、やっぱりプロ野球で長く活躍する条件が、マエケンには整っているというか。それをいつまでも続けていってもらいたいと思うんですけど。 山内:1年1年変えていくことが思いつく? 前田健太:そうですね。でも1回失敗してるんです。 前田健太:僕、2010年すごい良かったじゃないですか、2011年を迎える時に「このままでいいや」と思ったんです。2010年の感覚でいけば、「俺ずっと勝てるな」と思って、でも2011年全然勝てなくて。 前田健太:やっぱり現状維持は絶対ダメなんだと。それで毎年、変化球もそうだし、体の事もそうですし、何かちょっとずつでも挑戦していくことが大事だと思ったんで。 山内:その思いから成績が上がっていったと、それがマエケンの良さ。 真剣勝負の中に遊び心 山内:加えてマエケンには野球の中に遊び心があると思う。対戦、対打者に遊び心があるから色んなことが浮かんでくるのかなと。 前田健太:それはありますね。同じスライダーでもちょっと球速を変えてみたりとか、ちょっと曲がりを変えてみたら、どういう反応するかなとか、試合中に思いながら投げたりしてますね。 前田健太:そういうのは大事かなと思いますし、思いはじめてからピッチングの幅が広がりました。 山内はコーチから解説者へ環境が変化。立場が違う今だからこそ、マエケンに聞きたいことがあった。 1年目の真実 山内:球団と僕らコーチの考えでマエケンを1年間1軍に上げなかった。マエケンは1年目から1軍に行って投げたかった? 前田健太:投げたかったですね。今思えば2軍でちゃんと投げさせてもらって、ローテーションを優先的にというか、1番多く投げさせてもらったんで嬉しかったですけど。やっぱり上がりたかった。 前田健太:同級生がいっぱい投げてたんで、そういう意味では焦りも感じましたし。 山内:今となっては、それで良かったかなと? 前田健太:そうですね。1軍に上がってもたぶん先発ではなかなか投げれないと思うんで、中継ぎでロングリリーフとか。だったら下でローテーションでやらせてもらえて良かったかなと思いますけど。 山内:その言葉を聞いて安心しました。 ── テレビ新広島「プロ野球中継」(4日放送)より「安芸の者がゆく」が文字起こし及び意訳・一部抜粋 |
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