真価の2年目へ 優しき30番の熱き球道心 | |
一岡は独自の視点でプロの道を目指した。それは… 「バイトをして実社会を知りたい」 一岡:他の企業チームは社会を知った人達の集まりというか、仕事もしていない自分が社会人チームに勝つのは、気持ちの面で社会人の人と比べたらぜんぜん差があるというか、考え方が甘いなというのは感じて。 一岡:バイトで接客とかしてお金を稼ぐ難しさ、逆に言えば「野球でお金をもらえたらいい」とか「野球で企業に声をかけてもらえれば嬉しい」と思い始めて、そこからプロに!という思いになりました。 大敗を喫した自分と社会人との差を、実社会を知らない考えの甘さと解いた一岡はイタリアンレストランでバイトを始めた。 当初は自分で稼いだバイト代で奨学金や野球部の部費を払おうとしたが、到底お金が足りずコンビニやホームセンターなどバイトを掛け持ち。社会の厳しさを知った。 さらにイタリアンレストランでは、なかなか仕事を覚えることができず、自分のふがいなさに悔し涙を流した。 何度も何度もバイトで泣く日々。しかし、一岡に逃げ出すという選択肢はなかった。気づけばバイトを始めて2年の月日が過ぎようとしていた。 一岡:成人式にも行かずにバイトしたり、行けば(社会に揉まれれば)人間的に成長できるのではないかと思い始めて、野球も上手くなった気がします。アルバイトで泣く日々が続いて打たれ強くなったというか。 一岡:そういう意味でもやっぱり野球でキツイ練習をしても、これで頑張ればお金がもらえると考えたら、やっぱり(好きな)野球を続けたいと思いました。 「そこへ行けば成長できる」 専門学生時代に培った、その求道心。あのクリスマス・イブの夜も力をくれた。 一岡:嬉しさより不安が勝っていたのはクリスマス・イブの夜だけでしたね。 一岡:プロ3年目でも気持ちはルーキーで頑張ろうと思いました。逆に可能性が無限大にあるなというプラスの考え方になったというか。 そして一岡は新天地・カープで一気に才能を開花。開幕ダッシュを成功させたカープで、貴重なセットアッパーとして躍動し、防御率は脅威の0.00を続けた。 そして4月27日、一岡は早くも巨人時代に積み重ねてきた登板数に並び、カープでの13試合目の登板を迎える。 場面は0対0の均衡が続く延長11回。相手は奇しくも古巣・巨人。 この日、力強いストレートが冴えた一岡の力投が呼び水となりカープは勝利。一岡はカープ移籍後13試合目で古巣からプロ初勝利を挙げた。 一岡:カープにきてちかっぱよかったっちゃけどー! 一岡:逆にあの試合で対巨人のプレッシャーがなくなったというか、それまで本当に巨人戦だといつも以上にガチガチになって、その日の100%が出せなかったりしたんですけど。 一岡:巨人戦で勝ち星がついたということで、逆に吹っ切れた感があったので。 一岡:チャンスを頂いたというか、いま思えば本当にカープに来て良かったです。 古の人々は言った。 「一年の希望は春が決める」 赤きユニフォームに袖を通して迎える2年目の春。どんなに不恰好でも常に高みを目指す、一岡の真価の2年目が始まる。 帽子のツバに認められた「恥をかけ」 その言葉と共に…。 この話にはまだ続きがあります。その後の鯉の話です。 2年目のシーズンを前に、いま一岡投手はこう語る。 一岡:1年間を振り返ってみて、前半戦の自分の思ったような投球と、2度離脱した悔しさを比べると、やっぱり悔しさのほうが大きいです。プロとして1年間仕事ができなかった情けなさのほうが、自分の中では勝ってるんで。 一岡:とにかく怪我なく毎試合ブルペンを守れるように、もちろん50~60試合投げたいですけど、本当に1軍の枠を掴むという意味でも、怪我なく故障しなければ…という部分があります。 一岡:1年間通して活躍したシーズンが1年でもあれば自分の中でも自信にもなりますし。 一岡:たかが半年の活躍でちやほやされて、落ちていったら本当に中途半端だなと思うし。本当に今年以降が大事だなと思います。 ── 広島ホームテレビ「鯉のはなシアター」(2月21日放送)より「安芸の者がゆく」が文字起こし及び意訳・一部抜粋 | |
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