赤き魂を宿した 青い目のサムライ (2/3) | ||
カープの一員となったシュールストロムはクローザーとして活躍。しかし、再び故障に悩まされ、ついに野球人生にピリオドを打つ。 シュール:野球人生としてのキャリアはここで終わったと思いました。 シュール:すると松田オーナーからシーズン終了後、「スカウトになったらどうか」という話をもらったのです。チームを支えることに興味があったので、カープが2度目のチャンスを与えてくれたことに感謝しました。 シュール:広島の街も大好きだったので、ずっと広島に関わり続けていたいなと思っていましたしね。 こうして幕を開けた第2の人生。 しかし、アメリカの野球チームは全米に点在し、およそ600人の選手がスカウトの対象。めぼしい選手は当然、世界中の球団がマーク。獲得資金も高騰し、入団させるのは至難の業。 さらに朝早く起床しては全米を駆けずり回り、監督や日本のスカウトが選びやすいように大量のリストを作成する毎日。 在米スカウトとは一筋縄ではいかない仕事だった。 そんな過酷な状況下でシュールストロムは、コルビー・ルイス、バリントンといった一流選手をはじめ、アメリカでは無名も先発で二桁勝利、抑えとしても活躍したベイル。3割40本100打点の大台に到達したラロッカなど、日本球界で大成功を果たした選手たちを発掘してきた。 シュール:巨人のようにいくらでもお金があれば、もちろん嬉しい。でも私はアメリカで評価されなくとも、日本にいってチャンスさえ与えられれば活躍できそうな選手を見極め、探し出すことのほうがやりがいがあって、面白いと思っています。 シュール:だからお金がないことを言い訳にしようと思ったことは全くありませんね。 毎年、戦力となる選手を来日させ、その高い能力を賞賛されるシュールストロム。しかし、本人は…。 シュール:何か特別な才能を持っているわけではありません。でも選手のプレー態度で、ある程度は判断できます。 シュール:たとえばアウトとわかっていても、1塁へ一生懸命走っているか。打てなくても怒ってバットやヘルメットを投げつけていないか。 シュール:こういったちょっとしたことから、その選手が日本に行った時にどうなるかが見えてくるんです。 さらに彼には、獲得する選手に伝えたい自らの経験を踏まえた信念がある。 シュール:外国人選手に1番覚えておいてほしい事は「あなたが日本にあわせる」ということです。 シュール:異国から訪れる立場なのだから、「日本にいる人たちを尊重し、理解しようとしなさい」と。私は日本の野球に16~17年ほど関わっていますし、妻も日本人ですが、それでも全てを理解するのは無理ですから。 シュール:だから、ただ流れに身を任せて「あなたがその国にあわせ、協調しなさい」と言いたいですね。 今日もはるか遠くアメリカの地で、明日のカープ選手を求めて歩き続けるシュールストロム。いったい彼の底知れぬ探究心はどこから湧いてくるのだろうか。 シュール:とにかく野球とカープが大好きだということです。試合に勝ってほしいですし、その為に力になりたいと心から思っています。 シュール:カープのフロントやコーチングスタッフ。そしてファンは外国人選手にとても親切です。外国人選手にとってカープは日本で1番プレーしやすいところだと思っています。 シュール:もう選手としてプレーはできませんが、スカウトとして支えることはできます。チームに貢献してお返ししたいと心から思っていますよ。 シュール:良い選手を探してカープが強くなれるように力になりたいんです。 少年時代に大好きになった日本。野球人生の最後にたどり着いたのは、奇しくも少年時代に見た広島だった。最後のチャンスをくれた球団に恩義を抱き、球団のために第2の人生を歩むことを決めた熱きカープ愛を宿した青き目のサムライ。 今、彼によって見出された男達が日本の地で躍動する。自らの夢、スカウトたちの夢を乗せて。 ── 広島ホームテレビ「鯉のはなシアター」(23日放送)より「安芸の者がゆく」が文字起こし及び意訳・一部抜粋 | ||
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安芸の者がゆく@カープ情報ブログ
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